庭園名称について |
「海の瞳」と名がついた池水。その瞳には何が映るだろうか。
青い空に雲。あるいは空を飛ぶ鳥の影。そして夜には、美しくもはかない光を放つ「月」。
海の瞳は月を映す。月映しの瞳。
「花鳥風月」に心をよせ、中でも月を長年の友として愛でてきた日本人。日本から遠く離れたポーランド、ソポートの地にも、同じ月光は降りそそぐはずである。
Morskie Okoに映える月に日本文化を託し、この庭園を「月映(つくばえ)の庭」とした。 |
庭園の大きな構成について |
この地に日本庭園をつくるのに、敷地すべてに手を加える必要はないと考えた。Morskie Okoがもっている自然の美しさを活かしながら、必要最小限の空間に手を加え、この空間を日本的なものに変換する。
では、必要最小限の空間とはどこか。ポイントとなる部分は2つ。一つは北東の茶庭。もう一つは池を挟んで西側の滝石組のある流れの庭であり、その2つを廻遊園路でつなぐ。
茶庭部分は生垣で囲み、日本庭園の要は作庭後の維持管理にあるため、この部分は重点的にメンテナンスをおこなう空間とする。また、安全性を考慮し、必要に応じて閉じることが可能となる。
流れの庭では、滝石組からの水が流れとなり、池へと注ぎ込む。この流れの庭も茶庭ほどではないにしろ、ある程度管理を必要とする。
庭園の敷地は窪地であるため庭全体は、周囲から見下ろして楽しむこともできる。庭園入口から臨めば、茶庭の向こうに池が広がり、対岸には滝石組を中心とした流れの庭が広がる。 |
茶庭について |
茶庭は茶事にともなった庭であり、露地とも呼ばれる。露地門から腰掛待合をへて、茶室にたどり着くまでの道のりを庭としたものである。16世紀、日本では茶の湯文化のもと、町中に深山幽谷の景色を再現した。茶を飲むにいたる道程を、人工的に設えた深山とすることで、都会の喧騒から思索の場へと、気分を変換する装置として作られたのが露地の始まりである。
この「月映の庭」では、このような特殊空間である茶庭を生垣で囲い込むことでほかと区別しながらも、露地門から池面へ伸びる石畳が庭園全体の軸線として機能し、対面する流れの庭へと結んでいる。 |
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庭園入口
「月映の庭」の主玄関として、土塀で囲まれた石畳と階段を設ける。これは日本庭園のかすかな雰囲気を外界に伝え、異なる世界へ入るための一呼吸の場でもある。そして庭園を一周する園路および、茶庭の露地門へと通じる.
茶庭
詳細は茶庭の図面に。
舟付場
花見や十五夜、お茶会などのイベント時に舟を浮かべて遊ぶ。あずま屋の足元にある舟付場と行き来ができる.
流れの庭/島
山の恵みの水が滝となって落ち、河となり、大海へ放たれる姿を模したものである。池は海であり、護岸や島の石組は日本の荒磯を、洲浜は砂浜をイメージしている。
あずま屋と舟着場
散策途中の休憩スペース。庭の点景であり、ビューポイントでもある。
枝垂れ桜
「月映の庭」のシンボルツリー。池畔に植えられた枝垂れ桜の花は風にそよぎ、華やかながらも、たおやかな風情を水面に映すことだろう。
石畳テラス
池に張り出したテラスは茶室と流れの庭を一望するビューポイントである。 |
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茶庭の要素
Elements in tea garden
1.露地門rojimon garden gate
2.石畳(自然石)ishidatami natural stone pavements
3.飛 石tobiishi stepping stones
4.腰掛待合koshikake machiai waiting bench with arbor
5.つくばいtsukubai laver
6.埋込型灯篭ikekomi-gata doro buried type lantern
7.織部灯篭Oribe-doro Oribe lantern
8.四ツ目垣yotsume gaki four eyed bamboo fence
9.枝折戸shiorido woven-branch wicke,
10.茶 室chashitsu teahouse
11.洲 浜suhama beach with rounded stones
13.舟付場funatsuki-ba boat landing place
14.春日灯篭Kasuga-doro Kasuga lantern
15.石橋ishibashi slab bridge
16.景石Keiseki rocks
17.石畳(加工石)ishidatami cut stone pavement
18.裏木戸 garden wooden gate
19. 園路 path
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